いつも芸術家のくすり箱の活動にご理解、ご支援を賜り誠にありがとうございます。
この度、特定非営利活動法人芸術家のくすり箱臨時総会(2024年9月30日開催)にて、当法人の解散が決議され、同日をもって解散となりましたこと、お知らせいたします。
2005 年、有志により活動を始めた当時、芸術界は、身体の不調を訴えることはタブー、むしろ痛みをおしてでも公演に出演するのが美徳とさえいわれるような状況にあり、海外のプロフェッショナルの環境とは格段の違いがありました。
当法人は、日本の芸術家が健やかに実力を発揮して活躍するために、活動環境を少しでも改善したいと願い、芸術家当事者のみならず、医療者・治療家はもちろんさまざまな職域・ご支援のお力を得て、「芸術家ならではのヘルスケア」の啓蒙活動からスタートし、19年に渡り次のような取り組みを実現してまいりました。
・コンディショニングや食事・栄養、応急処置法など多様な知識を得られるセミナー事業
・公演帯同やヘルスケア助成、フィジカルチェックなど現場アーティストのサポート活動
・医療者、治療者等が芸術家ならではの治療、ケアについて学ぶ研修事業
・コラムや公演救急ガイドの発信による普及啓発事業
・芸術家の心身に関する実態をデータ化し広く共有する調査報告事業
これらの活動は、ひとえに皆様のご協力とご支援があって実現できたものに他なりません。芸術家、医療・ケア、寄付支援者が三位一体となってこその推進力を与えてくださったこと、他に類のない取り組みを続けられましたこと、改めまして感謝申し上げます。
当団体の活動は、芸術家や医療従事者個人の学びや気付きだけでなく、ヘルスケアによる芸術の質の向上や、業界としての意識の高まり、文化庁の芸術助成などにトレーナー費用が対象費目として認められるなどの変化において、ひと役を担っております。ひとつの文化の醸成であったことを、ご支援・ご協力くださった皆様への無形のお返しとさせていただけましたら幸いです。
これまで「芸術家のくすり箱」に触れてきた方々が、各方面で「芸術家のためのヘルスケア」「劇場人のヘルスケア」を実践していただき、芸術活動現場にこれからも少しずつでも根を張っていくことを願ってやみません。また我々の団体は、ここで解散いたしますが、少し先の未来で振り返った折に、発展的解散であったと思えるような今後を、我々自身も描いていきたいと思っております。
末筆ではございますが、皆様の健やかなご活躍を心よりお祈り申し上げます。
NPO法人芸術家のくすり箱