骨折とは、交通事故、転落事故、墜落事故、スポーツ事故など強い外力により 骨が折れたりひびが入ったりすることをいいます。 非開放骨折の手当 非開放骨折は、骨折部の皮膚に傷がない、または骨折部が体の表面の傷と直接つながっていない状態の骨折です。 ・全身及び患部を安静にします。 ・患部を固定します(骨折した手足の末梢を観察できるように、手袋や靴、靴下などを予め脱がせておきます)。 ・骨折部が屈曲している場合、無理に正常位に戻そうとすると、鋭利な骨折端が神経、血管などを傷つける恐れがあるので、そのままの状態で固定します。 ・固定後は、傷病者の最も楽な体位にします。 腫れを防ぐために、できれば患部を高くします。 ・全身を毛布などで包み、保温します。 開放骨折の手当 開放骨折は、骨折部が体の表面の傷と直接つながっています。 外からの傷だけでなく、折れた骨の鋭い骨折端が内部から皮膚を破って外に出ていることがあります。 また、誤った手当や搬送によって、二次的に起こることもあります。 開放骨折は、「神経・血管・筋肉などの損傷がひどい」「出血が多量」「骨折部が汚れやすく感染の危険が高い」などの危険性があり、 これらは骨折の治療を長引かせ、化膿したり関節が動きにくくなったりするほか、上肢・ 下肢の切断を余儀なくされることもあります。 ◎非開放骨折の手当と同じですが、特に次のことに注意します。 ・出血を止め、傷の手当をしてから固定します。 ・骨折端を元に戻そうとしてはいけません。 ・患部を締めつけそうな衣服は脱がせるか、傷の部分まで切り広げます。 |
手首固定の例 肘関節から指先までの長さの副子を、骨折部の外側と内側に当て、固定。副子が1枚のときは、手の甲側に当てる。 肘関節が動かないようにするために、前腕を吊る。 足首固定の例 バスタオル、ダンボール、 座布団などを活用して固定することも可。 図:日本赤十字社
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肉離れは、筋肉を構成している筋繊維や結合組織の損傷です。 急な動きや不自然な形で急に力を入れたりするときなど、背中やもも、ふくらはぎなどに起こり、強い痛みがあります。 手当 ・基本的には (P.10)を行います。 ・激しい痛みがある場合は整形外科へ。 |
【注】初期に動かしたり、あたためたりすると、 内出血や腫れがひどくなる。 |
転倒したり、ものにぶつかったりして身体を強く打ち、傷口を伴わない軟部組織の損傷です。 痛み、腫れ、内出血などがあります。 お腹の打撲は、内臓損傷や内出血を伴う場合がありますので、注意が必要です。 手当 ・(P.10)を行います。 |
【注】 痛みが激しいとき/お腹を強く打って全身の状態が悪化したときは病院へ。 |
人間の全血液量は、体重1kgあたり約80mlです。 一度にその 1/3 を失うと生命にかかわります。 大量の出血はすぐに止血が必要です。 ◎直接圧迫止血 出血している傷口を清潔なガーゼやハンカチなどで直接強く抑えて圧迫します。(図1) ガーゼなどが濡れてきたら、その上からさらにガーゼなどをのせて圧迫を続けます。 ◎間接圧迫止血 傷口より心臓に近い動脈(止血ポイント)(図2)を手や指で強く押して、 血液の流れを止めます。「直接圧迫止血」のガーゼやハンカチなどを準備するまでの間に行います。 |
【注】
・救助者の感染等を防ぐため、血液は直接触らない。・ゴム手袋か、なければビニール袋で手を包む。 (図1)
図:日本赤十字社
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◎鼻血の場合 小鼻を10分ほどつまみ、あれば冷たいもので鼻の付け根を冷やします。 止血しにくい場合はガーゼを鼻に入れ、小鼻を圧迫します。 |
【注】 上を向かない・首の後ろをたたかない。 |
★保温 大量出血をすると、血圧がさがるため、酸素や老廃物の運搬がうまくいかなくなり、ショック症状をおこすことがあります。 ショックの予防のため、止血とともに保温も行います。 ショックの原因はさまざまですが、生命の危険を表す兆候ですので、意識があっても緊急搬送が必要です。 ショックの徴候 ・顔色が蒼白 ・呼吸が浅く早い ・脈拍が弱く早い ・皮膚が冷たく湿っている ・虚脱、ぐったりしている |
体温が保たれるように全身を毛布で包む。
その際、傷病者を大きく揺らさないように注意。 床に寝かせる場合は、新聞や段ボールを敷くだけでも効果がある。 |